魔法のいらないシンデレラ
第十九章 結婚相手
「麗華様、そろそろランチの時間ですし、レストランに行かれては?」
総支配人室のソファで、ひたすらスマートフォンをいじり続ける麗華に、早瀬が声をかける。
今朝、高坂会長を見送ってから、ずっと麗華は一生にまとわりついている。
ここにいては退屈でしょうと、エステやスパを勧めても、頑なに動こうとしない。
「一生さんも一緒だったら行きまーす」
返事はそればかりだった。
今の返事ももちろん同じ。
「レストラン?一生さんと一緒なら行く」
またか、と早瀬はため息をつきそうになるのを堪える。
「あいにく、総支配人は本日スケジュールが詰まっていまして…。レストランで食事をする時間は取れそうにありません」
「じゃあ麗華も行かなーい」
「あの、そうおっしゃられても…。大事なお客様にお食事をご用意しない訳にはいきません」
なんとかしてこの部屋から出て行って欲しい…という本音は隠し、ひたすら、なだめたり透かしたりして、お嬢様のご機嫌を取ろうとする。
と、ふいに背後から一生の声がした。
「麗華さん。それではこちらにランチをご用意致しましょう」
「え、いいの?わーい!一生さん、優しい!」
麗華は立ち上がると、一生の首に腕を回して抱きついた。
早瀬はギョッとする。
なんとかして引き離さなければ、一生の怒りが沸点に達する…
しかし一生は、営業スマイルを欠かさず、手配しますのでしばらくお待ちくださいと言って、麗華をソファに座らせた。
総支配人室のソファで、ひたすらスマートフォンをいじり続ける麗華に、早瀬が声をかける。
今朝、高坂会長を見送ってから、ずっと麗華は一生にまとわりついている。
ここにいては退屈でしょうと、エステやスパを勧めても、頑なに動こうとしない。
「一生さんも一緒だったら行きまーす」
返事はそればかりだった。
今の返事ももちろん同じ。
「レストラン?一生さんと一緒なら行く」
またか、と早瀬はため息をつきそうになるのを堪える。
「あいにく、総支配人は本日スケジュールが詰まっていまして…。レストランで食事をする時間は取れそうにありません」
「じゃあ麗華も行かなーい」
「あの、そうおっしゃられても…。大事なお客様にお食事をご用意しない訳にはいきません」
なんとかしてこの部屋から出て行って欲しい…という本音は隠し、ひたすら、なだめたり透かしたりして、お嬢様のご機嫌を取ろうとする。
と、ふいに背後から一生の声がした。
「麗華さん。それではこちらにランチをご用意致しましょう」
「え、いいの?わーい!一生さん、優しい!」
麗華は立ち上がると、一生の首に腕を回して抱きついた。
早瀬はギョッとする。
なんとかして引き離さなければ、一生の怒りが沸点に達する…
しかし一生は、営業スマイルを欠かさず、手配しますのでしばらくお待ちくださいと言って、麗華をソファに座らせた。