魔法のいらないシンデレラ
やがて運ばれてきたクラブハウスサンドイッチに、麗華はご満悦のようだった。

(ふう、やれやれ)

早瀬がそう思っていると、デスクの電話が鳴った。

素早く受話器を取ると、顧問弁護士の島田からだった。

話があってこちらに向かっていると言う。

「総支配人、島田さんからです。例の件でお話があるそうで、こちらに向かっていらっしゃいます。あと10分ほどで到着されるそうです」
「分かった」

短くそう答えたが、早瀬の返事はない。

不審に思って顔を上げた一生に、早瀬は視線を一瞬ソファに走らせて目配せしてきた。

(ああ、そうか。ここでは話せない)

「オフィス棟の会議室に案内してくれ。私は先に行く」
「かしこまりました」
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