魔法のいらないシンデレラ
一生と早瀬は、もはや仕事には手もつけられず、ひたすら目で瑠璃を追う。
瑠璃はカウンター裏で準備をすると、ソファに戻った。
「お待たせ致しました」
麗華の傍らに腰を落とし、丁寧にポットから紅茶を注ぐ。
麗華の前にソーサーを置くと、スッと右側に持ち手がくるように向きを直した。
砂糖と、スライスしたレモンの小皿も並べると、どうぞ、とにこやかな笑顔を麗華に向ける。
麗華は、フンッと言わんばかりの態度で、乱暴にレモンと砂糖を入れると、カチャカチャとスプーンで混ぜてからカップに口をつけた。
「お口に合いますでしょうか?」
「ふん、まあ、いいわ」
瑠璃は頷いて立ち上がった。
と、麗華が瑠璃に声をかける。
「あなたさ、私のクラスメイトにそっくり」
「わたくしが、ですか?」
「そう。女子校の時のクラスメイト。いっつも先生に褒められてた。立ち居振る舞いが美しいわねーとか、所作がきれいだわーとか。でもそいつ、先生がいない時はガサツなの。先生の前だけ上品に振る舞って、媚を売ってた。その嫌なクラスメイトにそっくり!」
思わず一生が立ち上がった時だった。
「まあ、そうなのですね」
そう言って、瑠璃が頷く。
「麗華様は、そのクラスメイトとは今も連絡を?」
「はあ?そんな訳ないでしょ」
「そうですか。どうしておられるのでしょうねえ、その方」
そして、では失礼致しますと頭を下げる。
麗華は、ポカンとした顔で瑠璃を見送った。
瑠璃はカウンター裏で準備をすると、ソファに戻った。
「お待たせ致しました」
麗華の傍らに腰を落とし、丁寧にポットから紅茶を注ぐ。
麗華の前にソーサーを置くと、スッと右側に持ち手がくるように向きを直した。
砂糖と、スライスしたレモンの小皿も並べると、どうぞ、とにこやかな笑顔を麗華に向ける。
麗華は、フンッと言わんばかりの態度で、乱暴にレモンと砂糖を入れると、カチャカチャとスプーンで混ぜてからカップに口をつけた。
「お口に合いますでしょうか?」
「ふん、まあ、いいわ」
瑠璃は頷いて立ち上がった。
と、麗華が瑠璃に声をかける。
「あなたさ、私のクラスメイトにそっくり」
「わたくしが、ですか?」
「そう。女子校の時のクラスメイト。いっつも先生に褒められてた。立ち居振る舞いが美しいわねーとか、所作がきれいだわーとか。でもそいつ、先生がいない時はガサツなの。先生の前だけ上品に振る舞って、媚を売ってた。その嫌なクラスメイトにそっくり!」
思わず一生が立ち上がった時だった。
「まあ、そうなのですね」
そう言って、瑠璃が頷く。
「麗華様は、そのクラスメイトとは今も連絡を?」
「はあ?そんな訳ないでしょ」
「そうですか。どうしておられるのでしょうねえ、その方」
そして、では失礼致しますと頭を下げる。
麗華は、ポカンとした顔で瑠璃を見送った。