魔法のいらないシンデレラ
瑠璃はロビーを横切り、中庭につながる扉の前に立つと、どうぞ、と麗華をうながす。
庭には、金木犀やダリア、桔梗の花が美しく咲いている。
瑠璃は、スマートフォンで次々と写真を撮っては画面を確認し、その度に嬉しそうに笑った。
「…ねえ、何がそんなに楽しいのよ?」
しばらく瑠璃の様子を黙って見ていた麗華が、呆れたように声をかける。
「すみません、我ながらきれいに撮れたなと思って思わず…」
瑠璃は、満面の笑みでそう答える。
麗華は、近寄ってきて横から画面をのぞき込んだ。
何てことはない、ただの花の写真だった。
「これ、どうするつもりなの?」
「ホテルのSNSや、季節のお便りに載せたりします」
「は?この写真を?加工もしないで?」
「加工?と言うのは…」
「だから、インスタ映えするように、もっと盛るのよ」
「も、もる?」
「そうよ。もっとこう、明るくしたりキラキラさせたり。そんなの普通よ」
「は、はあ…」
瑠璃は気の抜けた返事をする。
庭には、金木犀やダリア、桔梗の花が美しく咲いている。
瑠璃は、スマートフォンで次々と写真を撮っては画面を確認し、その度に嬉しそうに笑った。
「…ねえ、何がそんなに楽しいのよ?」
しばらく瑠璃の様子を黙って見ていた麗華が、呆れたように声をかける。
「すみません、我ながらきれいに撮れたなと思って思わず…」
瑠璃は、満面の笑みでそう答える。
麗華は、近寄ってきて横から画面をのぞき込んだ。
何てことはない、ただの花の写真だった。
「これ、どうするつもりなの?」
「ホテルのSNSや、季節のお便りに載せたりします」
「は?この写真を?加工もしないで?」
「加工?と言うのは…」
「だから、インスタ映えするように、もっと盛るのよ」
「も、もる?」
「そうよ。もっとこう、明るくしたりキラキラさせたり。そんなの普通よ」
「は、はあ…」
瑠璃は気の抜けた返事をする。