魔法のいらないシンデレラ
「ふう。あー、まだ頭が重い」
「もう少し横になっていた方がいいですわ。ベッドへ。立てますか?」

肩を貸して立たせると、ドサッと横たわった麗華に毛布をかける。

「何かあったら、内線で呼んでくださいね」

そう言って立ち去ろうとすると、麗華が腕を伸ばして瑠璃の手を取った。

「ねえ、私でもなれる?」
「え?どうしましたか?」
「私もなれるかな?幸せに」

瑠璃は麗華の横にしゃがむと、顔を近づけた。

「もちろん。なれますよ」
「ほんとに?どうやったら?」
「そうですね…」

瑠璃は少し考えてから、もう一度麗華の顔をのぞき込む。

「あなたの周りには、今もきっと、たくさんの幸せの種が散らばっていると思います。そのひとつひとつを大事に、丁寧に向き合っていれば、それがいつか幸せにつながる、私はそう思います」

そう言って瑠璃が微笑むと、麗華も頷いて微笑んだ。

まるで花が咲いたような笑顔だった。
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