魔法のいらないシンデレラ
12月も半ばを過ぎた頃、瑠璃の女学院の同窓会が、今年もこのホテルで開かれることになった。
決めたのはもちろん会長の佐知だったが、このホテルでもう一度、との声が多かったのも事実だ。
瑠璃は、仕事を定時に上がると、更衣室でよそ行きのワンピースに着替える。
ドレスにしなかったのには訳がある。
姉は今夜、もうすぐ生後9ヶ月になる息子の篤志を連れて、夫の高志と一緒に参加する。
普段子育てでゆっくり出来ない姉に、たまには夫婦で楽しんでもらいたいと、瑠璃は子守りに徹するつもりだったからだ。
とは言っても、篤志はかわいい盛りで、今日はたっぷり抱っこ出来ると瑠璃は楽しみにしていた。
料理もそこそこに、瑠璃は色々なものに興味を示す篤志を抱いて、会場内を散歩する。
壁に飾られたクリスマスの装飾を見せていると、篤志は、瑠璃の顔に手を伸ばしてきた。
「どうしたのー?あ、そうだ。あっくん、見ててねー。いないいない…ばあ!」
古典的な割にはおもしろかったらしく、篤志は予想以上に笑う。
「おもしろい?じゃあもう1回やるよー。いないいない…」
両手がふさがっているので、代わりに頬を膨らませながらそう言い、ばあっ!と小首をかしげながら笑顔になると、篤志はキャッキャッと声を上げた。
「あっくん、かわいいー!何度でもやっちゃうよー」
瑠璃は、もっと篤志の笑い声が聞きたくて、何度も繰り返した。
決めたのはもちろん会長の佐知だったが、このホテルでもう一度、との声が多かったのも事実だ。
瑠璃は、仕事を定時に上がると、更衣室でよそ行きのワンピースに着替える。
ドレスにしなかったのには訳がある。
姉は今夜、もうすぐ生後9ヶ月になる息子の篤志を連れて、夫の高志と一緒に参加する。
普段子育てでゆっくり出来ない姉に、たまには夫婦で楽しんでもらいたいと、瑠璃は子守りに徹するつもりだったからだ。
とは言っても、篤志はかわいい盛りで、今日はたっぷり抱っこ出来ると瑠璃は楽しみにしていた。
料理もそこそこに、瑠璃は色々なものに興味を示す篤志を抱いて、会場内を散歩する。
壁に飾られたクリスマスの装飾を見せていると、篤志は、瑠璃の顔に手を伸ばしてきた。
「どうしたのー?あ、そうだ。あっくん、見ててねー。いないいない…ばあ!」
古典的な割にはおもしろかったらしく、篤志は予想以上に笑う。
「おもしろい?じゃあもう1回やるよー。いないいない…」
両手がふさがっているので、代わりに頬を膨らませながらそう言い、ばあっ!と小首をかしげながら笑顔になると、篤志はキャッキャッと声を上げた。
「あっくん、かわいいー!何度でもやっちゃうよー」
瑠璃は、もっと篤志の笑い声が聞きたくて、何度も繰り返した。