魔法のいらないシンデレラ
第四章 最悪なクリスマス・イブ
12月24日、言わずと知れたクリスマス・イブの朝に、瑠璃は電車で職場に向かっていた。
土曜日の朝とあって車内は空いていたが、それでもなんとなく華やいでいる気がする。
(今日と明日は、みんなとびきり幸せな時間を過ごすのだろうな…)
正面の席に並んで座っている、笑顔のカップルをぼんやり見ながら、自分も今夜予定があることを思い出す。
(はあ、そうだった。和樹さんとの約束があるんだった)
小さくため息をついてから、職場の最寄駅で電車を降りた。
「こんな日に出勤なんて、ごめんなさいね」
課長はそう言ってくれたけれど、瑠璃としてはありがたかった。
もし仕事がなければ、和樹は朝から会おうとしていたからだ。
大学は、今日の午前の講義が年内最後。
明日から冬休みになり、事務局もお休みとなる。
定時の17時になり、瑠璃は自分のデスクをきれいに整えてから、課長に挨拶した。
「今年も大変お世話になりました。来年もどうぞよろしくお願い致します」
「こちらこそ、来年もよろしくね。あ、早乙女さんは、残りあと3ヶ月よね?」
「…え?」
「…え?って。ええっ?!」
何のことだろうと首をかしげる瑠璃を見て、課長はもっと大きな声で驚いた。
「早乙女さん、まさか…。覚えてないの?契約期間」
「契約…期間?」
「そう!最初に働き始めた時にサインしたでしょう?2年の契約って」
「2年…ということは」
「あなた、来年の3月で契約切れるわよ」
文字通り、ガーンという言葉が瑠璃の頭に浮かんだ。
土曜日の朝とあって車内は空いていたが、それでもなんとなく華やいでいる気がする。
(今日と明日は、みんなとびきり幸せな時間を過ごすのだろうな…)
正面の席に並んで座っている、笑顔のカップルをぼんやり見ながら、自分も今夜予定があることを思い出す。
(はあ、そうだった。和樹さんとの約束があるんだった)
小さくため息をついてから、職場の最寄駅で電車を降りた。
「こんな日に出勤なんて、ごめんなさいね」
課長はそう言ってくれたけれど、瑠璃としてはありがたかった。
もし仕事がなければ、和樹は朝から会おうとしていたからだ。
大学は、今日の午前の講義が年内最後。
明日から冬休みになり、事務局もお休みとなる。
定時の17時になり、瑠璃は自分のデスクをきれいに整えてから、課長に挨拶した。
「今年も大変お世話になりました。来年もどうぞよろしくお願い致します」
「こちらこそ、来年もよろしくね。あ、早乙女さんは、残りあと3ヶ月よね?」
「…え?」
「…え?って。ええっ?!」
何のことだろうと首をかしげる瑠璃を見て、課長はもっと大きな声で驚いた。
「早乙女さん、まさか…。覚えてないの?契約期間」
「契約…期間?」
「そう!最初に働き始めた時にサインしたでしょう?2年の契約って」
「2年…ということは」
「あなた、来年の3月で契約切れるわよ」
文字通り、ガーンという言葉が瑠璃の頭に浮かんだ。