魔法のいらないシンデレラ
第二十四章 ずっと一緒に
「おはようございます」
「おはよう」
クリスマスの朝、いつもと変わりない挨拶。
早瀬はチラッと一生の様子をうかがう。
(どうだったんだ?夕べは…)
気になりつつも冷静をよそおう。
「昨日は定時で上がらせて頂き、ありがとうございました。大丈夫でしたか?あのあと」
「ああ、何も問題ない。お前、今日も定時で上がれ。今日だって大事なクリスマスだからな」
「いえ、大丈夫です。総支配人だってお仕事ですし」
すると一生は、ニヤッと笑った。
「俺、お前との約束、守ったからな」
「え、約束…って、クリスマスまでに…?」
「ああ。ギリギリだけどな」
「そっかー!ついに、一生さんが!」
早瀬は、まるで自分の事のように喜びを抑えきれなかった。
「いやー、心配してたんですよ。一生さん、顔面偏差値の高さに反比例して、恋愛偏差値からっきしだし。なんなら中学生以下。女の子口説くなんて、絶対無理だろうって。でも、そっかー。良かったなあ、サンタクロース頑張って」
「…は?お前、何言ってんの?それにちょいちょい俺の悪口挟んだだろ」
「喜んでるんですよ!これでも。あ、そうだ。今度紹介してくださいね、彼女」
一生は、飲みかけのコーヒーにむせ返った。
(これくらいの意地悪、許されて当然だ!なんたって俺は、失恋するのが分かってて恋のキューピッド、いや、サンタクロースを買って出たんだからな)
コートを掛けて席に着いた早瀬は、ふとデスクの上の花瓶に目をやった。
昨日までとは違い、クリスマスカラーの花がきれいに生けられている。
(瑠璃さん…)
不覚にも涙が出そうになる。
(いや、俺にはこの優しさだけで充分だ)
早瀬は頷くと、もう一度花を見て微笑んだ。
「おはよう」
クリスマスの朝、いつもと変わりない挨拶。
早瀬はチラッと一生の様子をうかがう。
(どうだったんだ?夕べは…)
気になりつつも冷静をよそおう。
「昨日は定時で上がらせて頂き、ありがとうございました。大丈夫でしたか?あのあと」
「ああ、何も問題ない。お前、今日も定時で上がれ。今日だって大事なクリスマスだからな」
「いえ、大丈夫です。総支配人だってお仕事ですし」
すると一生は、ニヤッと笑った。
「俺、お前との約束、守ったからな」
「え、約束…って、クリスマスまでに…?」
「ああ。ギリギリだけどな」
「そっかー!ついに、一生さんが!」
早瀬は、まるで自分の事のように喜びを抑えきれなかった。
「いやー、心配してたんですよ。一生さん、顔面偏差値の高さに反比例して、恋愛偏差値からっきしだし。なんなら中学生以下。女の子口説くなんて、絶対無理だろうって。でも、そっかー。良かったなあ、サンタクロース頑張って」
「…は?お前、何言ってんの?それにちょいちょい俺の悪口挟んだだろ」
「喜んでるんですよ!これでも。あ、そうだ。今度紹介してくださいね、彼女」
一生は、飲みかけのコーヒーにむせ返った。
(これくらいの意地悪、許されて当然だ!なんたって俺は、失恋するのが分かってて恋のキューピッド、いや、サンタクロースを買って出たんだからな)
コートを掛けて席に着いた早瀬は、ふとデスクの上の花瓶に目をやった。
昨日までとは違い、クリスマスカラーの花がきれいに生けられている。
(瑠璃さん…)
不覚にも涙が出そうになる。
(いや、俺にはこの優しさだけで充分だ)
早瀬は頷くと、もう一度花を見て微笑んだ。