魔法のいらないシンデレラ
父の腕に引かれ、チャペルの入口まで進むと、二人で深々とお辞儀をする。

こちらを振り返った列席者は、大きな拍手で迎えてくれた。

瑠璃は、バージンロードを1歩ずつ踏みしめる。

「瑠璃ちゃーん!きれいだー!」

加藤や山下、企画広報課のみんな。

「瑠璃ちゃん、きれい、とってもきれいよ…」

そう言って涙を拭う奈々と、隣で彼女の頭を優しくなでる青木。

「瑠璃ちゃん、ほんまきれいやでー。幸せになりや」

遠くから来てくれた清河。

「良かったわー、先に結婚してくれて。これで私もあなたに続けるわ」

いつもの口調でそう言う麗華。

「瑠璃ちゃん、幸せにね」
「瑠璃、良かったわね」
「あー!」

優しく笑いかけてくれる高志と藍、そして嬉しそうに手を伸ばしてくる篤志。

「幸せになれよ、瑠璃」

子どもの頃のかずきお兄ちゃんを思い出させる和樹の笑顔。

「瑠璃ちゃん、きれい、きれいよ。ああ、私の娘、瑠璃ちゃん」
「ちょっと佐知さん、私より泣いてどうするの」

ハンカチをぐしょぐしょにしている佐知と、苦笑いする母。

「瑠璃、良かったわね。幸せにね」
「ありがとう、お母様」
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