魔法のいらないシンデレラ
バーの入口で待っていたナイトマネージャーに手を挙げて、一生は早瀬と中に入る。
ガランとした店内のカウンターに、一人突っ伏している女性がいた。
横顔を見ると、確かにあの女性に間違いなかった。
近づくと、そばにいたバーテンダーが一生に頭を下げる。
「ご苦労様。どんな様子だ?」
「はい。3時間ほど前にお一人で来店されました。その時にはすでに、少し酔っていらっしゃるようでした。なんでもいいからお任せで作って欲しいとのことでしたので、軽めのカクテルを1杯お作りしました。それを飲み終わってから、眠ってしまわれたようです。何度かお声かけしましたが、熟睡されています」
「分かった。ありがとう」
そう言うと一生は、ジャケットの内ポケットからマネークリップを取り出し、一万円札をバーテンダーに渡した。
「支払いはこれで。お釣りはチップとして取っておきなさい」
「え?!よろしいのですか?」
バーテンダーは目を丸くする。
「ああ。よく知らせてくれた。それに、たった一度でお客様のお顔を覚えているのも、たいしたものだ。ここはいいから、もう上がりなさい」
「ありがとうございます!」
深々とお辞儀をして、バーテンダーは奥に消えた。
ガランとした店内のカウンターに、一人突っ伏している女性がいた。
横顔を見ると、確かにあの女性に間違いなかった。
近づくと、そばにいたバーテンダーが一生に頭を下げる。
「ご苦労様。どんな様子だ?」
「はい。3時間ほど前にお一人で来店されました。その時にはすでに、少し酔っていらっしゃるようでした。なんでもいいからお任せで作って欲しいとのことでしたので、軽めのカクテルを1杯お作りしました。それを飲み終わってから、眠ってしまわれたようです。何度かお声かけしましたが、熟睡されています」
「分かった。ありがとう」
そう言うと一生は、ジャケットの内ポケットからマネークリップを取り出し、一万円札をバーテンダーに渡した。
「支払いはこれで。お釣りはチップとして取っておきなさい」
「え?!よろしいのですか?」
バーテンダーは目を丸くする。
「ああ。よく知らせてくれた。それに、たった一度でお客様のお顔を覚えているのも、たいしたものだ。ここはいいから、もう上がりなさい」
「ありがとうございます!」
深々とお辞儀をして、バーテンダーは奥に消えた。