魔法のいらないシンデレラ
「あの、何度も助けて頂き、本当にありがとうございました。名乗りもせず、失礼致しました。私は、早乙女 瑠璃と申します」
「こちらこそ、ご挨拶が遅れました。私は当ホテルの総支配人をしております、神崎 一生と申します」
「えっ、総支配人?!あの、粋なシャンパンサービスの?」

思わず言ってしまってから、瑠璃は慌てて口を押さえる。

そんな印象しかないのか?と思われたのでは…

だが、総支配人の男性は、おもしろそうに笑い始めた。

「はい、キザなシャンパンサービスをさせて頂きました。覚えていてくださって光栄です」

うやうやしく胸に手を当てる。

「あ、いえ。とてもスマートなサービスだと。それにシャンパンも美味しかったです、本当に」
「そうですか、それはよかった。では次回も何か、キザなサービスを考えておきます」
「まあ!ふふふ」

男性の口調がおかしくて、思わず瑠璃も笑顔になる。
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