魔法のいらないシンデレラ
(仕方ない。大通りに出てタクシーを捕まえよう)

瑠璃が小さく気合いを入れて歩き出そうとした時だった。

後ろから車の近づく音がしたと思ったら、見慣れた車が瑠璃の隣に停まった。

「え…どうして?」

思わず呟く。

車から降りてきた和樹は、瑠璃に、明けましておめでとうと挨拶する。

「あ、おめでとうございます」

瑠璃も慌ててお辞儀をする。

「さ、乗って」
「え、でも…」
「早くしないと、みんなに不思議がられるぞ」

和樹の視線を追って振り向くと、玄関から父や母がこちらを見ていた。

和樹が頭を下げると、両親もお辞儀をしてから笑顔で手を振ってきた。

「じゃあ行こう」

もう一度言われて、仕方なく瑠璃は和樹の車に乗り込んだ。
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