魔法のいらないシンデレラ
第九章 授賞式
2月に入っても、瑠璃は次の就職先を見つけられずにいた。

3月末で契約が切れることを家族に話すと、全くと言っていいほど驚かれなかった。

むしろ、何をいまさら?と言いたげで、逆に次の就職先を探していることに驚かれた。

「別に探さなくてもいいんじゃない?」

姉の言葉には、どうせそろそろ結婚するんでしょう?というニュアンスがあった。

そうこうしているうちに、瑠璃の後任が決まった。

例に漏れず、瑠璃と同じ大学の卒業予定者だ。

卒業式が終わり次第、瑠璃が仕事の引き継ぎをすることになっている。

(もう待ったナシだなあ。早く新しい仕事探さないと)

気持ちばかりが焦っていたある日、佐知から電話がかかってきた。

妙に興奮した口調で、珍しく早口に話し始める。

「瑠璃ちゃん!やっぱりよ、私が言ったとおりだわ。やったわね、すごいわ!」
「お、おば様?いったい何が…」
「コンテストよ!ホテルのフォトコンテスト。ほら、あの若いカメラマンのね。今日、受賞者に連絡がいくことになってたでしょう?」

でしょう?と言われても…
でしたっけ?としか答えようがない。

「それで、もらった名刺のアドレスにメールを送ってみたのよ。どうでしたかって」
「ええ?!おば様、あのカメラマンの方にメールを?」
「そうよ。だって気になって仕方ないじゃない?」
「そ、そんな…」

瑠璃は恥ずかしさに、一気に顔が熱くなってきた。
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