魔法のいらないシンデレラ
「それではいよいよ、最優秀賞の発表です」

なぜか佐知が、祈るように両手を組んで目を閉じる。

「第20回フォトコンテスト、最優秀賞は…」

ドラムロールのBGMが流れる。

…ジャジャン!

「作品名『凛として』撮影者は、古谷 心平様です」

「きゃー!」

佐知が両手を挙げて喜ぶ。

「お、おば様…」

慌てて止めようとする瑠璃に笑いかけてから、古谷は立ち上がり、会場の拍手を受けてお辞儀をした。

「古谷様、どうぞ壇上へ」

一生から賞状を受け取った古谷に、佐知は身を乗り出して大きな拍手を送る。

そして、スクリーンに大きく写真が映し出された。

瑠璃は思わず息を呑む。

(あの写真…こんなにすてきに?)

写っているのがあの時の自分だとは、とても思えないほど、絵になる1枚だった。

審査員の写真家が、写真を見ながら選考のポイントを話し始めた。
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