魔法のいらないシンデレラ
次の日、約束通り和樹が車で迎えに来てくれた。

「よっ、久しぶり。元気だった?」
「ええ。和樹さんも?」
「ああ、俺は相変わらず。さ、乗って」
「ありがとう」

開けてくれたドアから助手席に座り、シートベルトを締めていると、運転席に回った和樹が瑠璃の顔を見て、ぷっと小さく吹き出した。

「え、何?今、私の顔見て笑った?」
「いや、だってさ。よく化けたなーと思って。あの和服美人に…くくっ」

和樹は、口元に手をやって笑いを堪えている。

「和服…って、もしかして和樹さん、あの写真見たの?」
「見たのって言うか、嫌でも目に入るし」

ハンドルを握り、前を向いて運転しながら和樹が言う。

「どういうこと?」
「まあ、すぐ分かるよ」

そう言って、和樹はもう一度、くくっと笑いを堪えた。
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