魔法のいらないシンデレラ

「澤山様、瑠璃さん。今日はご足労頂きありがとうございます。またお二人にお会い出来て、とても嬉しいです。あ、せっかくお二人ともすてきなお着物ですし、何枚か撮らせてください」

あら、そう？と佐知は、瑠璃と並んでカメラに目を向ける。

何度かシャッターを押してから、あとは自然な感じで撮りたいのでご自由にお花見なさってくださいと言われ、二人はまた桜を見ながら歩き出した。

「来週には満開になるでしょうね」
「ええ。花びらが舞う頃にも、また見に来たいですわ」
「あら、来週も来ましょうよ、瑠璃ちゃん。またあの懐石料理のお店に行かない？」
「本当に？わあ、嬉しい」

二人は顔を見合わせて微笑んだ。