魔法のいらないシンデレラ
「瑠璃様をモデルとして、ホテルの写真を撮りたいこと、また、先ほど見せて頂いた、桜並木のお写真もぜひ使わせて頂きたいです」

え?と三人は顔を見合わせる。

「さっき、偶然居合わせて撮ったものでして、仕上がり具合はまだ分からないですが…」

古谷がそう言うと、青木は頷いた。

「はい。そこでご提案なのですが…来週改めて撮影をお願い出来ないでしょうか?今日は桜もまだ七部咲きといったところですし、来週ならば、満開の桜の写真が撮れると思います」

突然のお話で恐縮ですが、何卒ご検討の程…と頭を下げられ、三人はどうしたものかと相談する。

「私はもちろん大丈夫です。仕事としてお引き受けしてありますし」

古谷の言葉に佐知も頷く。

「私も構わないですわ。瑠璃ちゃんさえよければ」

皆が一斉に瑠璃を見る。

「え、えっと。まだよく把握出来ていないのですけれど、私でお役に立てることがあれば、協力させて頂きます」

瑠璃がそう言うと、ホッとした顔で青木が肩の力を抜いた。

「ありがとうございます。皆様のご協力に、心より感謝申し上げます」

こんなに喜んでもらえるなんて、と瑠璃は嬉しくなり、頑張って期待に応えようと思った。
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