悪役令嬢ですが、ヒロインの恋を応援していたら婚約者に執着されています
ヒロインは私と同じ学年だ。つまり今年の新入生。入学式に遅れてきたヒロインは、学園の警備をしていたアラン様に助けてもらう。その後、他の攻略対象者達に道案内をしてもらったり、ぶつかったりして出会いを果たしていくのがこのゲームのオープニングである。
その出会いのシーンも見学したかったけれど、シナリオ通り私が新入生代表挨拶をすることになってしまったし、クリス様の在校生代表挨拶も聞きたいので我慢することにした。
クリス様はさすが王子様というだけあって、貫禄もあり威厳もあり、後光まで差している気がするほど眩い出立ちで、私たち新入生のハートを撃ち抜いた。挨拶の後、観客席に座る私に手を振ったので、黄色い歓声が沸き、直後私はものすごく注目されてしまった。
その後の私の挨拶は何事もなく終了したが、噂や注目の的になってしまって大変居心地が悪く、私は早々に抜け出してクリス様の元へと移動したのだった。
「リディ、今日から君と同じ学園に通えるなんて。嬉しいよ」
「色々とご教示頂けましたら嬉しいですわ」
「もちろんだよ」
クリス様の側には、お兄様、そしてキース様が控えている。アラン様はいない。お兄様とクリス様自身がめちゃくちゃ強くなったことで、クリス様の護衛はお兄様になってしまった。シナリオ通りならばここにアラン様もいて、四人でつるんでるはずなのに。なんだか色々改変してしまって、ヒロインさんごめんなさいね。
「こちらはキース。以前にも紹介したと思うが、僕の側近だよ」
「リディア・メイトランドです」
「キース・バリントンと申します。こちらこそよろしくお願いいたします」
キース様も攻略対象者の一人で、水魔法の使い手である。頭脳派だが多少腕も立つ。サラサラのブロンドヘアに、クリス様より濃い群青の瞳。この国では珍しい眼鏡姿のインテリ系イケメンだ。アラン様のように興味を示すと、キース様までお会いできなくなるので、あまりジロジロ見ないように心がけた。
ちなみに、ヒロインがキース様を選んでも、私は魔王戦に巻き込まれて死亡しまーす。
「先程のご挨拶、お二人とも流石でしたよ。未来の王太子夫妻のご挨拶を一度に聞けたのだと自分達の幸運を喜ぶ生徒が数多くいました」
「まぁ!」
嬉しい。「殿下の婚約者があんな目つきの悪いやつだなんて!」と噂されているものだと思っていたから、好印象をもってくれたようでよかった。
クリス様は昨年正式に王太子に任命され、次期国王となることが決定している。つまり、お母様の「めざせ王妃様」計画は着々と現実味を帯びている。今のところは。
「私のリディが褒められるのは嬉しいが、あまりその魅力的な姿を見せてファンが増えても困るな」
「出た。恋は盲目発言」
「お、お兄様!」
こうして私達は、ゲームのオープニングを迎えても、いつも通りに過ごしていた。
一方で、この世界がゲームと色々かけ離れてしまっていることに気づいた者がいた。
「なんで聖女様がもう存在してるの? どうしてディーン様はチャラ男じゃないの!? クリス様には会えないし、イベント全然ちがーう!!!」
校舎裏、訳もわからないことを叫ぶ女子生徒が一人。
名前はステラ・オールブライト。かなり稀少な光魔法の使い手である彼女は、この物語のヒロインであるはずだった。
「な、なんでよ……どうしてなのー!?」
その出会いのシーンも見学したかったけれど、シナリオ通り私が新入生代表挨拶をすることになってしまったし、クリス様の在校生代表挨拶も聞きたいので我慢することにした。
クリス様はさすが王子様というだけあって、貫禄もあり威厳もあり、後光まで差している気がするほど眩い出立ちで、私たち新入生のハートを撃ち抜いた。挨拶の後、観客席に座る私に手を振ったので、黄色い歓声が沸き、直後私はものすごく注目されてしまった。
その後の私の挨拶は何事もなく終了したが、噂や注目の的になってしまって大変居心地が悪く、私は早々に抜け出してクリス様の元へと移動したのだった。
「リディ、今日から君と同じ学園に通えるなんて。嬉しいよ」
「色々とご教示頂けましたら嬉しいですわ」
「もちろんだよ」
クリス様の側には、お兄様、そしてキース様が控えている。アラン様はいない。お兄様とクリス様自身がめちゃくちゃ強くなったことで、クリス様の護衛はお兄様になってしまった。シナリオ通りならばここにアラン様もいて、四人でつるんでるはずなのに。なんだか色々改変してしまって、ヒロインさんごめんなさいね。
「こちらはキース。以前にも紹介したと思うが、僕の側近だよ」
「リディア・メイトランドです」
「キース・バリントンと申します。こちらこそよろしくお願いいたします」
キース様も攻略対象者の一人で、水魔法の使い手である。頭脳派だが多少腕も立つ。サラサラのブロンドヘアに、クリス様より濃い群青の瞳。この国では珍しい眼鏡姿のインテリ系イケメンだ。アラン様のように興味を示すと、キース様までお会いできなくなるので、あまりジロジロ見ないように心がけた。
ちなみに、ヒロインがキース様を選んでも、私は魔王戦に巻き込まれて死亡しまーす。
「先程のご挨拶、お二人とも流石でしたよ。未来の王太子夫妻のご挨拶を一度に聞けたのだと自分達の幸運を喜ぶ生徒が数多くいました」
「まぁ!」
嬉しい。「殿下の婚約者があんな目つきの悪いやつだなんて!」と噂されているものだと思っていたから、好印象をもってくれたようでよかった。
クリス様は昨年正式に王太子に任命され、次期国王となることが決定している。つまり、お母様の「めざせ王妃様」計画は着々と現実味を帯びている。今のところは。
「私のリディが褒められるのは嬉しいが、あまりその魅力的な姿を見せてファンが増えても困るな」
「出た。恋は盲目発言」
「お、お兄様!」
こうして私達は、ゲームのオープニングを迎えても、いつも通りに過ごしていた。
一方で、この世界がゲームと色々かけ離れてしまっていることに気づいた者がいた。
「なんで聖女様がもう存在してるの? どうしてディーン様はチャラ男じゃないの!? クリス様には会えないし、イベント全然ちがーう!!!」
校舎裏、訳もわからないことを叫ぶ女子生徒が一人。
名前はステラ・オールブライト。かなり稀少な光魔法の使い手である彼女は、この物語のヒロインであるはずだった。
「な、なんでよ……どうしてなのー!?」