悪役令嬢ですが、ヒロインの恋を応援していたら婚約者に執着されています
その夜、湯浴みを終え、メアリーに髪を梳かしてもらいながら、私は今日のことを思い出していた。
(ステラに会っても、皆すぐに好意を持つわけではないのね……)
キース様はあからさまに邪険に扱っていたし、お兄様にいたっては怯えていた。
一方で、アラン様とステラは既に知り合いのようだったし、ステラはアラン様ルートに進んでいるのかもしれない。
(……クリス様は……)
ステラに対して嫌な態度は取っていなかった。王太子としての対応だったのかもしれないが、少し不安になる。
でも、私がアラン様と少し話しただけで、おそらく嫉妬してくれていた、気がする。
そして今日の抱擁を思い出した。意外に厚い胸板と力強さ、耳元で聴こえた優しく低く甘い声。
「……っ」
「お嬢様、今日は良いことがあったみたいですね」
「えっ!?」
ハッと気付くと、私の髪を整えながらメアリーがニコニコしていた。
「お嬢様はいつも剣を振り回して、すごい魔法も使えるようになられて、ちょっとばかり快活すぎるのではと心配しておりました。でもそうして恥じらう姿は可愛らしい乙女でいらっしゃいますね」
「な、なっ!」
「あっ! 恥ずかしくなったからって筋トレしに行っちゃだめですよ! もう湯浴みも済ませたんですから! ほらほらベッドへどうぞ!」
私は言われるがままベッドに横になる。メアリーには色々筒抜けで恥ずかしい。
「おやすみなさいませ」
メアリーが部屋を暗くしてそっと出て行く。目を瞑り思い出すのは、やはりクリス様の抱擁で……。
入学してからゲームと同じシナリオが始まったらと不安だったが、私は、クリス様の態度や今の状況から少しずつ自信を持ち始めていた。
(お母様の時だってシナリオを変えることができたんだし、きっと私が死ぬ運命も含めて変えていけるはず)
(ステラに会っても、皆すぐに好意を持つわけではないのね……)
キース様はあからさまに邪険に扱っていたし、お兄様にいたっては怯えていた。
一方で、アラン様とステラは既に知り合いのようだったし、ステラはアラン様ルートに進んでいるのかもしれない。
(……クリス様は……)
ステラに対して嫌な態度は取っていなかった。王太子としての対応だったのかもしれないが、少し不安になる。
でも、私がアラン様と少し話しただけで、おそらく嫉妬してくれていた、気がする。
そして今日の抱擁を思い出した。意外に厚い胸板と力強さ、耳元で聴こえた優しく低く甘い声。
「……っ」
「お嬢様、今日は良いことがあったみたいですね」
「えっ!?」
ハッと気付くと、私の髪を整えながらメアリーがニコニコしていた。
「お嬢様はいつも剣を振り回して、すごい魔法も使えるようになられて、ちょっとばかり快活すぎるのではと心配しておりました。でもそうして恥じらう姿は可愛らしい乙女でいらっしゃいますね」
「な、なっ!」
「あっ! 恥ずかしくなったからって筋トレしに行っちゃだめですよ! もう湯浴みも済ませたんですから! ほらほらベッドへどうぞ!」
私は言われるがままベッドに横になる。メアリーには色々筒抜けで恥ずかしい。
「おやすみなさいませ」
メアリーが部屋を暗くしてそっと出て行く。目を瞑り思い出すのは、やはりクリス様の抱擁で……。
入学してからゲームと同じシナリオが始まったらと不安だったが、私は、クリス様の態度や今の状況から少しずつ自信を持ち始めていた。
(お母様の時だってシナリオを変えることができたんだし、きっと私が死ぬ運命も含めて変えていけるはず)