敵国王子の溺愛はイケメン四精霊が許さない!~加護持ち側妃は過保護に甘やかされています~
第八章 王太子殿下と側妃の舞踏会
ジークフリード殿下と湖に遠駆けした日から三日が経った。
あの日は帰りがけに殿下がディーノに水を掛けられるという予期せぬアクシデントがあったけれど、彼は濡れた着衣の上にマントを羽織って『なにも問題ない』と笑っていた。
そのおおらかさが私の目にとても好ましく映った。
……ふふっ。それどころか彼は相乗りする私の体が濡れてしまわないか、そればかり気にしていたっけ。もちろんその心配は杞憂で、防水性に優れた殿下のマントが実にいい仕事をし、王宮に帰り着いた時も私の服は湿ってすらいなかったが。
私が知る王族──特に継母などは権力を嵩に着て些細なことでも目くじらを立てていたから、なおのこと殿下の言動に新鮮な感動を覚えた。
「エミリア様、ドレスが届きました。衣装室にお針子が待機しておりますので、さっそく最終調整をいたしましょう」
「はーい、今行くわ」
アニータに声をかけられて、ソファから立ち上がる。
あの日は帰りがけに殿下がディーノに水を掛けられるという予期せぬアクシデントがあったけれど、彼は濡れた着衣の上にマントを羽織って『なにも問題ない』と笑っていた。
そのおおらかさが私の目にとても好ましく映った。
……ふふっ。それどころか彼は相乗りする私の体が濡れてしまわないか、そればかり気にしていたっけ。もちろんその心配は杞憂で、防水性に優れた殿下のマントが実にいい仕事をし、王宮に帰り着いた時も私の服は湿ってすらいなかったが。
私が知る王族──特に継母などは権力を嵩に着て些細なことでも目くじらを立てていたから、なおのこと殿下の言動に新鮮な感動を覚えた。
「エミリア様、ドレスが届きました。衣装室にお針子が待機しておりますので、さっそく最終調整をいたしましょう」
「はーい、今行くわ」
アニータに声をかけられて、ソファから立ち上がる。