敵国王子の溺愛はイケメン四精霊が許さない!~加護持ち側妃は過保護に甘やかされています~
 昨日のサーカスの事故の時のエミリアを見て、彼女が精霊の力を自在に引き出せることがわかっている。しかし禁書には【モーリスは精霊神から聖具を与えられ、試された】と、その上で【精霊神に認められ、いとし子を王妃としてもらい受けた】と残されているのだ。
 今、精霊に試されているのは俺だ。そして舞踏会の晩に、俺は彼らから『エミリアを望むなら生半可な真似をするな』と言外に忠告を受けている。
 やはり、エミリアの力はあてにするべきではない。
「おそらくだが、彼女に明確な役目はない」
 昨日の帰城後、俺はエミリアに建国に纏わる実話と共に、初代王モーリスが聖女を王妃にした件を伝えようとした。
 当然、昨日の今日でこんな事態に襲われることを予見したからではない。聖女であるエミリアのルーツがガルニア王国にある事実を告げて、喜ばせてやりたかったのだ。
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