あの空の上で君と

プロローグ

「私は彼を助けたいんです！」

シャーロットは必死に叫んだ。
彼を助けるためには、空の国へ行くためには
空の国へと繋がる橋の番人である父の許可が
必要なのだ。

「行ってどうなる？お前は役にたてるのか？」

父の言葉がシャーロットの心に刺さる。
シャーロットには生まれた時から魔力がない
のだ。小さい時から魔石に頼って生きてきたのだ。

「そんなのｯ、彼が夢を諦める理由にはならないわ。」

シャーロットが彼の夢がどれだけ素晴らしいものなのか語ろうとすると、父リアムは言った。

「お前の気持ちは分かった。」

シャーロットは飛び上がるほど嬉しかった。許可をくれるのか！

「だが、今のお前を通すことはできない。」

何をすれば許可をくれるのか？シャーロットは今度はドキドキでいっぱいになった。

「精霊の国に行って、精霊と契約してきなさい。契約できたら鍵をあげよう。」

精霊の国は地の国の東にある国だ。精霊達と契約することができるが、精霊はとても気難しく、契約することができるのは滅多にない。
シャーロットは思った。それでも彼を助けれるのならと。

「分かりました、父上。明日出発致します。」
　
令をしてシャーロットは急いで父の執務室を出た。小走りで廊下を進みながら、シャーロットは彼との出会いや、何故彼が空の国に囚われることになったのかを思い返していた。