赤鼻の彼を忘れない
6話赤鼻の彼を忘れない
0:そして12月24日、現在
早希:じゃあ、私はずっと健太さんと付き合ってたんですか?
健太:・・・そうだよ
早希:信じられないです
健太:無理もないよね
早希:でも、ずっと違和感を感じてたんです
早希:買った覚えのない服もあったし、自分で書いたはずの予定も忘れてる
早希:ピアスもいつの間にか空いてた
早希:やっと辻褄が合いました
健太:よかった、信じてもらえて
早希:はい、健太さんのこと信じてます
健太:じゃああの場所に行こう
早希:どこに?
健太:俺が早希に告白した場所だ
0:早希と健太は約束の場所に行く
健太:ここに立って?
早希:はい
健太:違う、あと5センチ横
早希:細すぎません!?
健太:いいの、これもお約束だ
健太:じゃあ、改めて
健太:早希
早希:待ってください
健太:え?
早希:私・・・健太さんとの記憶が無いまま健太さんと向き合うのは・・・怖いです
健太:・・・
健太:俺も怖いよ
健太:早希のその敬語も冷たい視線も、さん付けも、また別人だと思えば何とかなると思ってたけどさ
健太:でも、早希の喜ぶ顔とか、照れてる顔とか、美味いもん食ってる顔とか、楽しそうな顔とか
健太:からわれて怒ってる顔とか、優しい顔とか、俺の冗談で笑ってる顔とか、
健太:重いもの頑張って持ってる顔とか、寒がってる顔とか、可愛いもの見てる顔とか、俺の目を真っ直ぐ見る顔とか
健太:早希の仕草一つ一つが俺にとっては・・・
健太:全部・・・俺の大好きな早希なんだよ・・・
早希:・・・また鼻、赤いですよ
健太:今日は泣かせてよ、でもさ、早希
健太:早希の記憶は俺がいる限り無くならないよ
早希:・・・え?
健太:早希のスマホのファイルに、赤鼻ってファイル、あったでしょ?
早希:・・・もしかして、あの鍵のついたファイル・・・
健太:うん、早希の俺に対する愛があればそれは開けられるはずだよ
早希:・・・
0:早希は恐る恐る、鍵付きのファイルに
0:パスワード『1224』を入力した
早希:・・・っ!!
健太:俺たちの写真と動画だよ
健太:記憶はなくても記憶は残せる
健太:早希が無くした記憶は俺が持ってるよ
早希:・・・健太さん
早希:うっ、うううぅ〜〜(泣く)
健太:泣くなよ、俺ももらい泣きするぞ?
早希:健太さんはいつも泣いてるじゃないですか
健太:泣いてないし!
健太:・・・本当は、今日のこの日、早希にプロポーズする予定だったんだ
早希:・・・そうだったんですか
早希:ごめんなさい
健太:いいや、俺と早希はまた、ここから始めよう
早希:・・・はい
早希:健太さん、抱きしめてください
健太:・・・??
早希:これから、私の記憶を健太さんで埋めてください
健太:・・・わかった
健太:でも、これだけは言わせて
健太:好きだよ、早希
早希:・・・私も、好きです
0:健太が早希を抱きしめた
早希:・・・え?
早希:・・・健太?
0:
健太:・・・早希?今、なんて
早希:・・・健太だよね?
健太:うん、そうだよ、健太だよ!
早希:・・・なんで、ここに健太が居るの?
健太:ずっとそばに居たよ!早希!
健太:もしかして・・・記憶戻ったのか?
早希:・・・うん、ぼんやりと
早希:私、健太と・・・
早希:あれ?涙が勝手に落ちてきた
健太:早希・・・うううぅ〜(泣く)
早希:健太、ごめんね、私、健太のこと忘れてたのかな?
健太:なんで、思い出せたの?
早希:わかんない、けど健太の温もりで全部思い出せた
早希:ごめんね、健太のこと覚えてなくて
健太:ううん、早希は俺に言ってくれたじゃん
健太:記憶が無くなっても何度だって俺に恋したいって
健太:早希は・・・俺に好きって言ってくれたんだよ
健太:早希を信じて、ずっと待ってたんだよ!
早希:健太・・・
早希:こんな私のそばに居てくれて、ありがとう
健太:早希じゃなかったら、ずっとそばにいれなかったよ
健太:ありがとう、早希
健太:そうだ、早希、俺、早希に伝えたいことがあったんだ
早希:・・・何?
健太:今すぐにじゃなくていい、色々落ち着いてからでいいから
健太:結婚しよう、早希
早希:うん!もちろん!
健太:ほ、本当か!!
早希:当たり前でしょ
健太:やったあああああ!!
早希:また鼻赤くなってるよ、泣いてるの?
健太:泣いてねーよ、ばぁかぁー!
早希:うっふふ!
早希:私も健太じゃないとダメだよ
早希:幸せになろ?
健太:ああ、幸せにする、約束するよ
早希:うん、健太は私の約束を絶対に守ってくれるもんね
早希:私だって約束するよ
早希:これから何があったとしても私は絶対に
早希:赤鼻の健太を忘れない
0:赤鼻の彼を忘れない
〜END〜