逃すもんか
「うん。ハハ。フランス語は公民館でやってる教室へ今も通ってる。
その教室でウチの奥さんと出会ったんだけど、いつでもチャンスがあればフランスで仕事したいと思っている」
「スゲェ! 結婚すると夢なんか捨てなきゃいけないと思ってましたよ〜俺……」と平岡さんはビックリしていた。
「フランスかぁ…」
「実はさ〜俺がTVで観たブランドではないんだけど、フランスの超一流ブランドのハンドバッグの工房で30年間働いていた人が、専門学校の先生だったんだ。」
「「30年!」」
「ああ、俺らが学生の頃はもうかなり歳をとってたけど…
俺さ、その先生にどうしてもフランスのブランド工房で働きたいからどうすれば良いか聞いたんだ。
*フランス語が話せる事。
*日本人の採用の場合は、職人としての基礎技能がある事。
*そのブランドへ推薦してくれる職人がいる事
だったんだ。
だから結婚する時に奥さんにも相談した。
10年以内にフランスへのチャレンジするから、渡仏費用を貯金したいって…
だから贅沢な生活も出来ないってさ〜」
「でも、奥さんはそれを受け止めてくれたんですね?」と俺が聞くと
「うん。まぁね」
「じゃあ、子どもとかは?」
「結婚したのも去年だから、まだいないよ」