逃すもんか
カフェレストランだから中に入るとコーヒーのいい香りがした。

窓際の席に案内された。
「ハイ。メニュー」

「一緒に見ましょう?」

「イヤ、オレの今日の気分は牛肉の赤ワイン煮なんだ。」

「もう、決まってるんですか?じゃあ私は…
やっぱり、この"おすすめハンバーグセット"にします。」

料理を注文してから
「これからは、2人の時はゆかりって呼び捨てにしても良いかな?」

「はい。じゃあ私は史弥さんにします。」

「うん。ところで北野さんから何か言われた?」

「ハイ。朝イチで階段の人がいないところで、『平岡さんから聞いたよ〜。大崎さんとお付き合いすることになって良かったね。ゆかりちゃん』て私が報告する前に祝福されました。」

「オレさ、嬉しくて帰ってから平岡さんに電話しちゃったんだわ…
平岡さんにも『史弥おめでとう。良かったなぁ〜。こんなスクープは美桜ちゃんにも教えちゃお!
じゃあおやすみ〜』ピッ!て言ってたからなぁ。
まぁ、会社の人にバレてもオレは構わないし、
いいんだけどね。」

ゆかりは、大崎さんがフランスへ行ったあとの事を考えて

「史弥さん、会社の人にはまだ内緒でお願いします。
揶揄われたりすると恥ずかしいし…」

「そう?ゆかりがその方が仕事しやすいならそうする? でも内緒にしててもこうやって2人でメシ食ってるところとか2人で歩いてるの目撃されて質問されたら、オレは誤魔化したりしないで、付き合ってると言うよ?」

「……わかった。」
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