逃すもんか
冷蔵庫に食品を入れる史弥さん。

「さゆり、麦茶しかないけどいい?」

「はい。」

テーブルに麦茶を出してくれた史弥さん。

「狭くてゴメンな。」

「いえいえ、きちんと整理整頓された部屋ですね。」

「うん。ただ、物が少ないからだと思う」

「これ飲んだら、ひとまず手羽元をスペアリブ用のタレに漬け込もう。
平岡さんのお母さんからのレシピも用意しておいたから大丈夫だし」

「平岡さんと北野さんはご両親たちと今頃式場ですかね?」

「ああ、多分な。賑やかそうだよな」

「ふふふ。また平岡さんがふくれ顔になってるかもしれませんね。」

「ハハ。お父さんたちにあの平岡さんも太刀打ちできないだろうからな〜
ゆかり、オレの料理はきちんと大さじ何杯とかじゃないからね。いつも味見しながらなんだわ」

「はい!今日はエプロンもタッパーも持ってきましたし、お料理はヘタですが頑張ります。
あ!笹団子を忘れてた。ちょうど食べ頃になってますから、コレを食べてから始めませんか?」

「お!新潟名物 笹団子。オレこれ好きなんだよ。
5個も持って来てくれたんだ。」

「はい。5個がひとまとめで束ねてあるんです。」

「食べてもいい?」

「はい。良かったら全部食べてもいいですよ?」

「全部は無理だけど、2個食べてもいい?」

「はい。どうぞ召しあがれ〜」

史弥はうまい!と言いながらペロリと2個食べた。

「笹団子好きなんですね〜史弥さん。」

「うん。大好きなんだわ。」

「今度、帰省したらまたお土産に買ってきますね」

「うん。ありがとう」ニコニコの史弥さんを見て、可愛い…と思ったゆかり。
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