逃すもんか
それも慣れた手つきで作る。
切り干し大根の鍋を火をかけながら
スペアリブダレにつけた手羽元を冷蔵庫からだした。
まるでコックさんのような史弥さん。
流れるように料理を作っていく。
平岡家ではバーベキューの鉄板でじっくり焼いていたが、
史弥さんはフライパンに鶏の焼き目を付けてから
「本当はオーブントースターで焼けばいいかもしれないけど、今日は量も多いからフライパンを弱火で蓋をして中まで火を通すね。
途中でこの残ったタレも入れて照り焼き風にするわ」
「ハァ〜。ま、美味しかったら大丈夫です。」
「クク。うん。ゆかりが美味しいと思ってくれるように頑張るな。」
「え、ああ〜またやらかした〜」
「クク。大丈夫。大丈夫。クク…」
なんでそんなに面白いのか私にはわからないが、楽しそうな史弥さん。
いい匂いがしてきた。
「ゆかり、切り干しもタッパーに入れるだろ?」
「はい。」
「あのさゆかり。ですます無し!
タメ口にしてよ。な?」
「は…うん。わかった。頑張り…ね。」
「クク。うん……クク」とまた笑っていた。