逃すもんか

「史弥〜聞いてよ〜。
もうさ〜俺なんかいなくてもほとんど決まっちゃたんだよ?
招待状の封筒も天使ちゃんがついたのが良いと思ってたのに親父だちに却下されてさ〜
ったく〜ストレス溜まるわ。」

「北野さんは?」

「なんかさ、美桜は文句も何も言わないからさ〜
この前マンションの内覧してから、ケンカしちゃった……」

「え〜大丈夫なの?」

「俺さ〜『美桜は希望も何もないのか?
それって俺との結婚なんてどうでも良いと思ってんの?』って言っちゃったんだよ〜」

「で?」

「そしたら…帰りの車の中で美桜が謝ってきたんだ。
『柊一さん、私が悪かったゴメンなさい。
私はひとりっ子で、お父さんやお母さんが柊一さんとの結婚をすごく喜んでくれるのが嬉しいの。
柊一さんのお父さんもお母さんも私がお嫁さんになるのをあんなに喜んで、結婚式の事を決めているでしょう…
だから……
ウェディングドレスだけは譲らないけど…
私にとっては柊一さんと夫婦になる方が重要だし、2人で力を合わせて私たちの家庭を築き上げたいと思っているの…
柊一さんとの結婚がどうでもいいなんて考えてない!』
って言ってポロポロ泣き出してさ〜

車を止めて美桜を抱きしめて、俺も謝った。
美桜の本心が聞けたら俺も文句ばっか言ってたらダメだなって思ったんだ。
でもやっぱり親父たちには腹立つけどさ!」
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