逃すもんか
アパートへ入り、ゆかりは換気をするのに窓を開けた。
「部屋の中の空気が澱んでる〜。
史弥さん手を洗うでしょう?タオル今持ってくるね。」

「ああ、ありがとう。」
タオルを受け取ってから洗面所で手を洗った。

ゆかりも手を洗って冷蔵庫から麦茶を史弥に出した。
「ありがとう。」

「史弥さん、大事な話なんでしょう?」

「ああ、今日アパートに帰ったら田村先輩から連絡が入ってて、田村先輩に連絡したらさ〜
外人の職人さんが母国へ帰国するらしいって連絡してくれて…」

「え! じゃあ史弥さんにチャンスがきたの?
すごい。良かったね!」

「うん。その後で片桐先生に電話したらさ〜
やっぱりフランスの後輩職人からいい職人を紹介して欲しいって連絡があって、課題の製作書をFaxしてもらったから片桐先生の所で6/5(土)〜6/9(水)の5日間で課題製作する事になった。」

「うわぁ…鳥肌が立つ〜。おめでとう史弥さん。」

「ありがとう。でも先生のOKが出なければいけないから…」

「あ、そうか。
でも田村先輩くらい努力してる史弥さんだから大丈夫よ!頑張れ〜!」とゆかりは拍手してくれた。

「うん。ありがとう。
それでオレさ〜もし片桐先生からOK出たらその自分が作った課題を直接フランスまで持って行って採用担当の職人さんに見てもらうつもりなんだ。

先生は課題製作が終わったら郵送すると仰ってたけど、どうしても自分で持って行きたいんだわ。
だから明日、会社には6/7(月)〜6/11(金)まで有給休暇申請する。」
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