逃すもんか
片桐先生の息子さんの工房へ行く。

「いらっしゃいませ。」

「こんにちは。あの片桐先生とお約束している大崎です。」

「ああ。課題製作の…
ちょっと待ってて下さい。親父を呼んできますね」

「はい。」
息子さんが店の奥へ行っている間にお店の商品を眺めた。
婦人用のバックの専門店で、バック以外にも財布やキーケースなどの小物もとても上品な商品が多い。

「あ、ようこそ大崎くん。今回は頑張ろうな。」と片桐先生が息子さんとお店の方へきてくれた。

「はい。宜しくお願いします。
また、息子さんの大切な工房をお借りしありがとうございます。」と息子さんにもお礼をした。

「自由に使って下さい。頑張ってね」

「ありがとうございます。」

「じゃあ、俺は大崎くんと奥に行くから」

「ああ。昼メシは弁当買ってくるわ」

「ああ頼む。」とオレと片桐先生は、奥にある1人で作業するのに丁度いい広さの部屋へ入った。

「大崎くん。スーツケースはあっちに置くといい。」

「ハイ。」オレはスーツケースを在庫棚の隅っこに置き、道具のかばんから仕事用のジャンバーとエプロンをかけて部屋へ戻った。
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