逃すもんか
オレは指示書に注意する箇所に赤ペンで線を引いたりしながら、じっくりと指示書を読んだ。
3回読んでから製作完成図の寸法を見てから作業に入った。

片桐先生は黙って椅子に座り、オレの仕事ぶりをみながらコーヒーを飲んでいる。

オレは心の中で
"ヨシ!冷静に落ち着いて、そして心を込めて作るぞ!" と思った。
そして、深呼吸をしてから作業し始めた。

製作期間中は片桐先生のご自宅で寝泊まりした。
先生の奥様がメシを用意してくれて、
フランスで暮らしていた時の話しもしてくれた。

息子さんも高校を卒業してから父親である片桐先生と同じブランドで修行したらしい。
片桐先生が退職し、日本へ帰国する時に息子さんも帰国して今のお店をオープンしたと教えてくれた。
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