逃すもんか
「名前は中島 ゆかり〈なかじま ゆかり〉でオレより2こ下の23歳です。
ウチの会社のオンライン通販部です。
あ、田村先輩!
あの平岡さんが4月に結婚したんですけど、平岡さんが一目惚れした美桜さんの同僚で初めて平岡さんが美桜さんをメシに誘うのにオレも彼女もダシに使われたというか…
それから4人で観光牧場いったりして仲良くなったんです。」
「へぇ、あの宇宙人平岡くんも結婚したんだぁ」
「はい。今では営業成績トップに入ってるし、凄いんですよ平岡さん。」
「あの頃も大崎くんのところへ昼メシ食べに来ては大先輩の職人さんに質問してたよな。」
「はい。先輩がフランスに行ってからもしょっ中、工房の休憩室でバックの特徴を聞きまくってます。
そしてよくデパートで美味しいおやつを買って、差し入れしてくれます。」
「ハハ。いつもテンション高くて、意味不明な事を言ってたよなぁ〜」
「今でも意味不明な事はしゃべってますし、
工房では平岡=宇宙人が定着してますね。
平岡さんの結婚までの話は長くなるので明日にします。ハハ」
「ねぇ。大崎くんの彼女の写真ないの?」
「え〜と、これが観光牧場で平岡さんたちと4人で行ったのと…」
「大崎くん。平岡くんの奥さんってこの人?」
「ハイ。美桜さんです。」
「すごいね。美男美女カップルジャン!」
「どれどれ〜。わあ本当だ。じゃあこの可愛らしい女の子が大崎くんの彼女?」
「はい。そうです。」
田村夫妻は微笑みながらゆかりを眺めていた。
「いや〜もっと話したいけど今日はここまでにしよう。明日は採用試験というか大崎くんの運命の日だしな。」
「そうね。時差ボケもあるかもしれないからパパと同じ時間に起こすわね」
「はい。ありがとうございます。2泊お世話になります。」