逃すもんか
平岡さんの言っている意味がよくわからなかった。

オレに聞きたい事?
ゆかりのことで説明したい事? 
一体何なのか不安になった。

電車で平岡さんのマンションへ急いで向かう。

ピンポン♪
「あ、史弥!開けるな」

キッチンにいたゆかりは柊一の史弥に対応しているのを聞いてアタフタとしていた。

美桜はゆかりと慌てて、ゆかりが寝ていたリビング横の和室の襖を閉めて2人で隠れた。

玄関のピンポン♪が鳴る。
柊一と史弥がリビングへ入る。

「お邪魔します…アレ?美桜さんは?」

「あ、なんか夕飯作ってたら、足りない物があったからスーパーに買いに行ったんだわ。
それより!フランスの採用結果を聞かせてよ!」

「はい。おかげさまで採用合格で、契約書にサインしてきました。」

「おめでとう!良かったな史弥。」パチパチ。

「ありがとうございます。田村先輩のアパルトマンに2泊させてもらったので、いろいろとフランスの事も聞けてためになりました。」

***
和室のゆかりは口を押さえて泣き出した。
美桜は棚からタオルをそぅと出してゆかりに渡した。
***

「なぁ史弥、ゆかりちゃんはどうしたんだよ〜」

「さぁ〜。約束したんですよ?
田村先輩の奥さんにもいろいろ教えてもらって、
パソコンの画面にいろんなのたくさん見た中に、
オレが勤めるブランドでコレだ!っていうのがあったんてすよ〜」

「ふ〜ん。サイズは?」

「だいぶ前にゆかりが熟睡してる時に糸で測ってました。
その話しをしたら田村先輩も同じだったらしくて大笑いされましたけどね!」
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