逃すもんか
私たち2人は、会社は8月末までの勤務だ。

6月の末に課長と部長に入籍の報告をした。
朝礼でも通達された。
芽生ちゃんは私が婚約指輪をした日から、
何も質問もしてこない。
仕事上の事だけの会話で私は少し寂しい気持ちがした。

昼休みにランチに誘ったら断られた。
それを見ていた美桜さんが私の肩を叩き、首を振った。

私たちとランチへ行かなくなった芽生ちゃんは他のグループで行動していたが、7月下旬頃から1人で休憩室でお昼を食べていた。

「芽生ちゃん。ちょっとここに座っても良い?」

「どうぞ。」

「芽生ちゃん。私、大崎さんと結婚したの。」

「知ってる!フランスの超一流のブランドの職人さんになって向こうへゆかりちゃんも行くんでしょ!
何で?何で、海外とか全然興味無かったゆかりちゃんが? だって、大崎さんは高卒ジャン!」

「うん。高卒だよ。
でも夢に向かって努力して努力してやっと叶ったんだ。
そんな夢に向かって頑張っている大崎さんを私は好きになったの。
なかなか芽生ちゃんに付き合っている事を話せなくてゴメンね。
最後まで芽生ちゃんと話しが出来なかったら悲しいなって思ってたの。
芽生ちゃん、やっぱり私は人は中身だと思う。
ダダそれだけは伝えたかったんだ。
ご飯食べてたのにゴメンね。じゃあ」
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