逃すもんか
「あ、みなさん。さっき史弥さんから今日ここに参加できなくて申し訳ございませんと伝言を頼まれました。」

「史弥くんは1人でアッチの部屋の準備してるんだから、有難いなあゆかり。」

「うん。頼りになる旦那さまなの…」

「きっと史弥はくしゃみしてるかもなぁ〜ハハ
あ!史弥のお父さんちは田んぼってあるんですか?」

「ウチ?ウチは代々大工の家だったからなぁ。
田んぼはないなぁ?」

「あの、ゆかりちゃんのお父さん。
昨日ゆかりちゃんから田んぼがあると聞いたのですが、」

「ああ、うちは俺の親までは米農家だったからね」

「それで、今年の稲刈りはもう済みましたか?」

「いや、今年は天気が悪かったからなぁ…
来週の土日でやるかって話ししてたんだ」

「じゃあ!俺と美桜も稲刈りのお手伝いしたいんです! 
来年の田植えもやってみたいんです。
ただ…ど素人で初めてなんですが…」

「オウ!良かったら田舎だけどおいでよ。田んぼで食べる、握り飯がうっめぇんだ。」

「ゆかりちゃんのお父さんは確か…重機のお仕事では…」

「はい。俺の親父に米農家は大変だから勤めに出ろって言われたんです。
だから俺は重機オペレーターを本業にして働いてます。
ただ、自分ちで食べる分の米だけは作ってるんです。農協には卸してないですが…」

「じゃあ ゆかりちゃんは美味しいお米を食べて育ったんだなぁ」と史弥パパ。
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