逃すもんか

平岡さんと美桜さんがいてくれたおかげで、両家とも顔合わせの時より砕けた雰囲気で話しも盛り上がっていた。

私は安心した。
美桜さんが結婚式のときお父さんたちが話しを進めるけど、両家が仲良くなるならその方が良いと言っていたのがわかった気がした。
私もそう思う。
平岡夫妻は私のお手本だなぁとも思った。

平岡夫妻も来週はあの田舎の田んぼで稲刈りかぁ。
けっこう歳をとった両親が作業するには大変なので、ありがたいと思ったゆかり。

史弥さんも私も両親とはこの先いつ会えるんだろうと思ったらちょっと寂しい気分になった。

最後の飲み物が運ばれてきた。

「では!〆の挨拶をゆかりちゃんのお父さん。
ヨロシクお願いします!」

「はい。皆様、本日は明日旅立つ娘の為にお集まりいただき、ありがとうございます。
ゆかり!史弥くんのような良い男はなかなかいないから頑張って支えていくんだぞ!
体に気をつけて… が…んば…れ! 
史弥くんとゆかりの幸せを願って乾杯!」

お父さんは涙を拭ってグラスを掲げた。

「「カンパイ」」パチパチ。

高級な雰囲気の居酒屋を出て、ふらふらしながらみんなでホテルへ戻った。

私もこの後、お父さんとお母さんに育てていただいた感謝の言葉を直接言うのは照れるのでフランスから手紙を書こうと思った。
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