逃すもんか
愛の巣?!***

お花屋さんの上にある部屋で2DKなのかな?
2人なら充分の広さだった。

「ゆかり、どう?」

「うん。充分な広さがあるから良いね!」

「ああ、京香さんが見つけてくれたんだ。
今日は田村ファミリーから夕飯に招待されているんだ。
ゆかりの歓迎会だって。」

「嬉しいなぁ。あ、みんなからも田村さんへのお土産を預かってるの。コレだよ」

「そうかあ。じゃあゆかりがシャワー浴びて準備整ったら行こうか。」

「うん。」

ゆかりが支度終え、みんなから預かっているお土産も持ち、2人で道路を渡り斜め前の田村さんのお宅へ向かう。

「ゆかり、あそこの3階が田村先輩のうちだよ」

「すごく近いから私も安心!」

「うん。5歳の昇太〈しょうた〉くんも可愛いんだよ。 オレのことを"ふみお兄ちゃん"て呼んでくれるんだ。それに先輩の話しではフランス語も上手いみたいだ。ハハ」

「へぇ。凄いね。5歳でフランス語話せるなんて〜私は昇太くんにフランス語を教えてもらおうかな?」

「うん。子どもってスゴイよな〜。日本語もフランス語も同時に覚えられるんだからさぁ〜」

「うん。やっぱり環境でかなり人生が変わるんだね」

「クク。ゆかりも来年はフランス語がペラペラになるかもな。」

「うん!ペラペラ喋りたいから頑張るね」

「うん。頑張れ。オレも仕事頑張る。」

同じ会社の史弥さんと結婚して…
パスポートも持っていなかったこの私が、
フランスで今日から暮らす…
本当に人生ってわからないもんだ。
でも、未来は明るいと信じよう。

この幸せがずぅーと続くように私も努力しよう。

思い込みが激しく勘違いしちゃう私だけど、これからも末永く宜しくお願いしますね。史弥さん。

温かい気持ちになり微笑んで史弥さんを見ると、
史弥さんも微笑みを返してくれた。
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