逃すもんか
赤ちゃんが産まれるまでは時々、オレを自宅に呼んでくれて夕飯をご馳走してもらっていた。
今日は久しぶりに自宅へ夕飯に誘ってもらったので、コーヒーショップに寄らず、真っ直ぐ田村さんちへ向かう。
「大崎くん今日はありがとう。京香も久しぶりに大崎くんに会えるから喜んでるんだ」
「赤ちゃんもいて大変なのに、誘っていただいてありがとうございます。」
「さっき聞いた、大崎くんが春から上級コースになるって教えたら、もっと喜ぶと思うわ」
「へへへ。」
「今日はまだ寒いから寄せ鍋にするらしいよ」
「マジですか!鍋は田村さんち以外ではなかなか食べる機会がないから、楽しみです!」
「ハハ。若いんだからたくさん食べろよ。」
「じゃあ、デザートはオレに奢らせて下さい!
奥さんはケーキ好きですよね?」
「ああ、大好きだよ」
「あそこにあるケーキ屋さんでも大丈夫ですか?」
「ああ、あそこはこの辺で美味しいって有名な店だよな。きっと京香のテンションも上がるわ。ハハ」
「じゃあ、あの店のケーキにしますね。」
ケーキのショーケースにはキラキラして美味しそうなケーキがたくさんあった。
史弥は6種類買った。
「6個も買ってくれるの?」
「はい。明日からおやつタイムに…と思いまして…」
「ありがとう。大崎くん」
「いえ〜。へへへ。」