逃すもんか

ビックリして固まっていた細野くんだった。

「今度、細野くんも史弥と一緒に飲もうね〜」

「あ、は…い」と細野くん。

平岡さんはご飯を食べてから寛いでいる先輩職人さん達を捕まえて、
新作が載っているマイカタログを持っていつものように情報収集をしていた。

「あの〜、大崎先輩、平岡さんはああいう方なんですか?」

「ハハ。スゲェ〜ハイテンションでビックリしたよな。
平岡さんはあんな風にテンション高めで明るいけど、思いやりがあってきめ細やかな心遣いが出来る人でさ〜
人を見抜く能力に長けてるし、あんな風に職人さん達に敬意を払いながら質問してるだろ?」

「ハイ…」

「だから、商品の勉強をして努力する平岡さんを悪く言う職人はいないんだ。」

「そうなんですかぁ…。」

「オレなんか新人の研修中はさ〜
平岡さんのこと この人宇宙人か?って思うくらい良くわからない発言されてたからさ〜 ハハ」

「宇宙人…」

「あ、史弥!また俺の事を宇宙人って言ってたのか! 
バツとして今日は細野くと一緒に飲みにいくぞ!」

「え〜 仕事だって忙しいのに…」

「いや、必ず行かなきゃダメ!」

「細野くん?今夜大丈夫? オレは何とか行けるけど…」

「ハイ。大丈夫です。」

「ありがとう細野くん。史弥が奢ってくれるから安心してね〜」

「え〜!」

「ハハ。細野くんの分は史弥の奢るっという事で〜じゃあ、午後からも仕事頑張ろうな! バイバイ」
といつものように颯爽と帰っていった。

「宇宙人…かも…」と細野くんは呟いた。
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