逃すもんか
オレは、実家が東北なので、会社から3駅先のアパートで一人暮らしを始めた。

平岡さんは都内の実家から通勤するので電車の乗り換えもあると言っていた。

「なぁ、大崎くんあの同期たちどうだった?」

「ああ、オレは話すの苦手だし。
話しの内容も売り上げの事とかだったから、話しが続かなかったかなぁ…」

「だろ? 小難しい言葉なんか使っちゃってさ〜。
お客様の欲しいものさえデザインして売れば良いみたいな…俺はああいうの嫌だなぁ…
でも! 同期だからきちんと付き合っていくよ?」

「ハイ…
平岡さん。オレを気遣ってくれてありがとうございます。
これからも宜しくお願いします。」

バシッと史弥の背中を叩き

「イテっ!」

「ハハ。うん。こちらこそ、これからも宜しくお願いします。
買い物とかさ、東京見物とか遊びにも行こうな!」

「ありがとうございます」

研修後の同期会でオレの認識は、
宇宙人平岡さんから→良い人平岡さんになった。

面倒みが良くて、優しいし、本当に兄貴がいたらあんな感じなのかなぁと思った。
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