逃すもんか
「アレ、火が…」と薪を調節して忙しくしだした平岡さん。

「3人の父親と母親かぁ〜
だから宇宙人になったのか?」とオレが呟く。

「「宇宙人?」」と北野さんと中島さんが不思議がっていた。

平岡さんを見ると、オレの話しは聞こえてない様なので…

「うん。平岡さんさ〜入社式のあとオレに声をかけてくれたんだけど、高卒の工房の職人になるオレを研修中も大切にしてくれたんだ。
どうしてオレを?と不思議だったし、
いつもテンション高めで、発想や発言が変な時もあって、よくわからない人だから宇宙人みたいな人だなって思ってたんだ。」

「クスクス。確かにバナナとか?マイカタログとか?」

「そうそう。営業なのに本社で内勤の日は工房の休憩室で職人さんと一緒にメシ食うし〜
でも平岡さんの行動も言動も、仕事熱心で努力家で、真っ直ぐな人なんだって気づいたんだ。

そして、平岡さんは人の本質を見抜く能力が野生的に凄いんだよね〜」

「人の本質を見抜く能力…かぁ。私には無いからなぁ」とポツリと北野さんが言った。

「北野さん。
北野さんに無い能力なら、平岡さんと一緒にいればその能力が研かれると思うよ?
簡単に騙されたりしないよきっと…」

「え?」

「それに平岡さんは思いやりがある人で優しいから、工房の職人やパートさん達も平岡さんの事を悪く言う人はいないんだ」

「……」と北野さんは平岡さんを見た。
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