逃すもんか
おっ、そろそろ時間だぞ！

とパパママ軍団はテーブルにビールとおつまみを置いて、
ガラス窓の方へ移動し身を乗り出して観戦体制を整えた。

オレたちも窓に移動する。

審判団と選手たちが入場し、国歌斉唱もあったが、
パパママ軍団は選手と一緒に大きな声で歌っていた。

いよいよキックオフ！

オレの隣りに平岡さんが座ってくれたのでルールを教えてくれた。中島さんは北野さんから教えてもらっていた。

スクラムを組む時は自分の体にもチカラが入る。
ボールを抱えて走ったり、転げたボールを取られないようにしていたら、味方や敵が集まって押し合いしてまたボールが出てきたり、オフサイドはちょっとラグビー初めてのオレにはわかりにくかった。

パパママ軍団は解説者のようにプレーを分析しながら観ている。

前半終了。17対14で日本が勝ってる。
ハーフタイムにトイレへ行ったり忙しい。
サッカーと違って、体型が全然違う人がたくさんいる。デッカい人。細い人、足が早くてゴールする人。
ラグビーボールも地面に落ちるとどっちに転んでいくか分からないのも面白かった。

肩をほぐしていると、平岡さんと平岡パパが
「大崎くん、初めてラグビーを観戦してどうだった？」

「ルールも良く分からないですけど、スクラムの時はオレまで体にチカラがはいったし、ボールが落ちた時、どっちに転がっていくのかも面白かったです。
トライした後のキックするのも凄いと思いました。」

「そうか。じゃあ今度は誠二が出る試合にも誘おうか？」

「ハイ。是非お願いします」

すると本郷パパが「拓実、後半始まるぞ！」

「おう。よし、後半も観ようか」

「ハイ」


平岡パパとママに会って感じたのは、こんな温かい家族だから平岡さんは思いやりがあって優しくて、努力する人になったのがわかった気がした。
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