逃すもんか
「え、ちょっと待って下さい……
平岡さんが私に一目惚れ?……」
まるで壊れた人形の様に、
何度もウンウンと頷く柊一。
「私が何か辛い事を抱えてるって思ってた…」
今度は1度だけコクンと頷いた。
美桜は、以前大崎さんが言っていた話しを思い出した。
『平岡さんは、人を見抜く能力に長けているんだ』
『北野さんにない能力なら、
平岡さんと一緒にいればその能力が研かれると思うよ?
簡単に騙されたりしないよきっと…』
でも…ビックリして胸がドキドキしてきた。
平岡さんは真っ直ぐな綺麗な目で私を見ていた。
でも… こんな時に臆病な自分が…
また捨てられるかもしれない…
でも、平岡さんとなら…
頭の中がグルグルいろんな思いが入り混じった。