放課後の眠り姫
友達に呼ばれ、慌てて珊瑚は部屋へと走り込む。そこには可愛らしいピンクのドレスが置かれており、ヘアセットをするために友達がヘアアイロンやお姫様の髪につけるティアラなどを用意してくれていた。

「うわっ、可愛い……」

「当然でしょ?私が作った衣装なんだから!」

友達がドヤ顔をする横で、緊張を覚えつつも初めて着るドレスに胸を弾ませつつ、珊瑚はドレスに着替えた。フリルたっぷりのドレスはどこか重く感じる。

「髪、巻いていくね」

「お、お願いします……」

ヘアアイロンで髪を巻かれていく。髪でその人の印象は変わるというが、それは本当なんだなと珊瑚は感心した。髪を緩く巻いただけで、普段の自分とは違うように見える。

メイクを顔に施され、ティアラを頭につけられる。すると、友達が「すごい」と呟いた。珊瑚が「何が?」と訊ねると友達は興奮したように口を開く。

「いや、ずっとこのドレス莉生くんが着るんだって思って、莉生くんに似合うように作ってたんだけど、すごくあんたにも似合ってる!めちゃ似合ってるよ!」
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