霊感御曹司と結婚する方法
ブラック・ウィドウ ー糾司視点ー
その翌日は兄との約束で、とあるホテルのレストランに出向いた。
しかし、店に入って、視界の遠くに見えたのは兄嫁だ。そして彼女の横には兄ではなく、若い女性が座っていた。兄の姿はなかった。もう、嫌な予感しかしない。
「やっと会えたわね。いつぶりくらいかしら」
「一年くらいではないですか? 僕が海外に行っていた間くらい」
「もっとよ」
「そうですかね」
確かに、義姉とは関わらないようにしているから、そうかもしれない。
兄は、俺とは十歳以上歳が離れている。そして、義姉は兄と同い年のはずだ。
俺は昔から、この女が大の苦手だ。
義姉は、俺が兄に頭が上がらないことを知って、いつもそれを利用するかのように俺に接してくる。
俺は黙って空いている向かい側に座った。あえて何も言わない。
給仕がやってきて、義姉はワインのボトルを頼んだが、自分の方は今日は車で来ているからグラスは不要だと給仕に伝えた。
「運転手ぐらい呼ぶわよ」
「僕はそういう身分ではないので」
「そう、じゃあ食事の後は、彼女を送って差し上げてね。こちらね、初めて会うわね。私の父の取引先の社長のお嬢さん。松島沙耶さんというの」
義姉は一呼吸おいて、俺を見据え強調して言った。
「あなたの婚約者よ」
俺も義姉をそのまま見返した。
「彼女、すごい美人で驚いたんじゃない?」
義姉はいたずらっぽい笑みを浮かべて言った。そして、令嬢に俺のことを紹介していた。
「糾司はね……、彼は今、うちの敦司さんの力を借りて起業なんかしているけど、それはお勉強中なの。ゆくゆくは本社に戻って敦司さんの右腕になるのよ」
勝手なことを言っている。だが、兄の力を借りて起業というところは、嘘ではない。
令嬢はそれを聞いて、ただ一言「そうですか」と小さく呟いただけだった。何となく彼女もあまり乗り気ではなさそうな雰囲気だ。
俺は義姉に言った。
「兄はなぜ来ないんですか? 僕は、兄が話があるからということでここに来たんですが」
「敦司さんは元から来ないわよ。私の誘いでは、あなたは警戒して来てくれないでしょう?」
俺は義姉を睨みつけた。
「今日のことは敦司さんには了解を得ているのよ。私はあなたと彼女の結婚の話をそろそろ進めたいの。彼女にはあなたの海外勤務の間、ずっと待っていてもらったのよ?」
俺の知るところでは無いが、黙っていた。
しかし、店に入って、視界の遠くに見えたのは兄嫁だ。そして彼女の横には兄ではなく、若い女性が座っていた。兄の姿はなかった。もう、嫌な予感しかしない。
「やっと会えたわね。いつぶりくらいかしら」
「一年くらいではないですか? 僕が海外に行っていた間くらい」
「もっとよ」
「そうですかね」
確かに、義姉とは関わらないようにしているから、そうかもしれない。
兄は、俺とは十歳以上歳が離れている。そして、義姉は兄と同い年のはずだ。
俺は昔から、この女が大の苦手だ。
義姉は、俺が兄に頭が上がらないことを知って、いつもそれを利用するかのように俺に接してくる。
俺は黙って空いている向かい側に座った。あえて何も言わない。
給仕がやってきて、義姉はワインのボトルを頼んだが、自分の方は今日は車で来ているからグラスは不要だと給仕に伝えた。
「運転手ぐらい呼ぶわよ」
「僕はそういう身分ではないので」
「そう、じゃあ食事の後は、彼女を送って差し上げてね。こちらね、初めて会うわね。私の父の取引先の社長のお嬢さん。松島沙耶さんというの」
義姉は一呼吸おいて、俺を見据え強調して言った。
「あなたの婚約者よ」
俺も義姉をそのまま見返した。
「彼女、すごい美人で驚いたんじゃない?」
義姉はいたずらっぽい笑みを浮かべて言った。そして、令嬢に俺のことを紹介していた。
「糾司はね……、彼は今、うちの敦司さんの力を借りて起業なんかしているけど、それはお勉強中なの。ゆくゆくは本社に戻って敦司さんの右腕になるのよ」
勝手なことを言っている。だが、兄の力を借りて起業というところは、嘘ではない。
令嬢はそれを聞いて、ただ一言「そうですか」と小さく呟いただけだった。何となく彼女もあまり乗り気ではなさそうな雰囲気だ。
俺は義姉に言った。
「兄はなぜ来ないんですか? 僕は、兄が話があるからということでここに来たんですが」
「敦司さんは元から来ないわよ。私の誘いでは、あなたは警戒して来てくれないでしょう?」
俺は義姉を睨みつけた。
「今日のことは敦司さんには了解を得ているのよ。私はあなたと彼女の結婚の話をそろそろ進めたいの。彼女にはあなたの海外勤務の間、ずっと待っていてもらったのよ?」
俺の知るところでは無いが、黙っていた。