霊感御曹司と結婚する方法
翌日は、吉田が来てくれた。
兄がグリーンのオフィスに来て、蒼子と会ったらしい。吉田から、兄と蒼子のやりとりの内容を聞いた。
兄はひたすら蒼子に謝り続けていたという。
「神崎さんもずっと専務に謝り続けててさ……。涙ながらに。一歌さんは逮捕されたし、村岡は大怪我をして運ばれたし、その責任を感じているのか、随分落ち込んでいるよ。無理もないけど……。
僕が助言できたことは、警察には一歌さんとあったことを隠さず正直に言っておくということくらいだ。
僕にも遠城さんにも、何があったのか言ってくれないけどね。一歌さんと専務のことを気遣ってのことだと思うんだけど……」
吉田が口ごもって何か言いにくそうにしていた。
「どうした?」
「今、こんなことを言うのもどうかと思うんだけど、君の怪我も時間が経てば治るものだと聞いたし……」
吉田が結婚すると言い出した。
一瞬、蒼子のことが頭に浮かんだが、相手は彼女では無かった。
「実は、今年に入ってから、見合いをしていたんだ。それで、結婚を決めたのは先月だ」
吉田は、もう少し前に俺に伝えるつもりだったらしいが、俺がこんなことになってしまったので言える機会をなくしてしまったらしい。
「見合いって、前から話はあったのか?」
「まあ、そうかな……。親族がうるさいんだ。僕は今年で三十だし、長男だし、二人の弟たちのこともあるとか、順番に片付いてほしいとかの意向が、ひしひしと伝わってくるんだ」
「お前の家ならそうだろうな」
「僕も、悩んだよ。君と違って女性は得意じゃないし。でも、結婚しないわけにもいかないし。親戚に、いい感じの女性を紹介してもらって、今がその時機かと思ったんだ」
「そうか。……よかった」
「もちろん、結婚式は村岡にも出席してもらうよ。そのためにまだ日取りは未定なんだ」
「もちろんだ」
たぶん、今の俺は複雑な表情を彼に見せている。
自分の今の醜態のこともあるし、今、彼がこの話を持ち出すのは、俺と蒼子との関係への彼の気遣いもあるんじゃないかと思った。
「村岡? どうしたんだ? 浮かない顔して」
「いや……。公私ともに大事な時期に、こんなことになって、本当に申し訳なく思っている」
「やめろよ。僕は何も心配していないよ。君のすることで、今まで心配なんかしたことがない。それより、怪我、しっかり治してよ」
吉田は爽やかな笑顔を俺に見せた。
兄がグリーンのオフィスに来て、蒼子と会ったらしい。吉田から、兄と蒼子のやりとりの内容を聞いた。
兄はひたすら蒼子に謝り続けていたという。
「神崎さんもずっと専務に謝り続けててさ……。涙ながらに。一歌さんは逮捕されたし、村岡は大怪我をして運ばれたし、その責任を感じているのか、随分落ち込んでいるよ。無理もないけど……。
僕が助言できたことは、警察には一歌さんとあったことを隠さず正直に言っておくということくらいだ。
僕にも遠城さんにも、何があったのか言ってくれないけどね。一歌さんと専務のことを気遣ってのことだと思うんだけど……」
吉田が口ごもって何か言いにくそうにしていた。
「どうした?」
「今、こんなことを言うのもどうかと思うんだけど、君の怪我も時間が経てば治るものだと聞いたし……」
吉田が結婚すると言い出した。
一瞬、蒼子のことが頭に浮かんだが、相手は彼女では無かった。
「実は、今年に入ってから、見合いをしていたんだ。それで、結婚を決めたのは先月だ」
吉田は、もう少し前に俺に伝えるつもりだったらしいが、俺がこんなことになってしまったので言える機会をなくしてしまったらしい。
「見合いって、前から話はあったのか?」
「まあ、そうかな……。親族がうるさいんだ。僕は今年で三十だし、長男だし、二人の弟たちのこともあるとか、順番に片付いてほしいとかの意向が、ひしひしと伝わってくるんだ」
「お前の家ならそうだろうな」
「僕も、悩んだよ。君と違って女性は得意じゃないし。でも、結婚しないわけにもいかないし。親戚に、いい感じの女性を紹介してもらって、今がその時機かと思ったんだ」
「そうか。……よかった」
「もちろん、結婚式は村岡にも出席してもらうよ。そのためにまだ日取りは未定なんだ」
「もちろんだ」
たぶん、今の俺は複雑な表情を彼に見せている。
自分の今の醜態のこともあるし、今、彼がこの話を持ち出すのは、俺と蒼子との関係への彼の気遣いもあるんじゃないかと思った。
「村岡? どうしたんだ? 浮かない顔して」
「いや……。公私ともに大事な時期に、こんなことになって、本当に申し訳なく思っている」
「やめろよ。僕は何も心配していないよ。君のすることで、今まで心配なんかしたことがない。それより、怪我、しっかり治してよ」
吉田は爽やかな笑顔を俺に見せた。