霊感御曹司と結婚する方法
俺はこの際、母には蒼子の事を話しておいたほうがいいと思った。
「……彼女とは、偶然知り合った。少し前に。偶然出会って、俺が好きになった」
母は少し身構えた表情をした。
「自分の家に住まわせているのは成り行きだ。彼女はまったく賛同していない。彼女はさっき恋人ではないといったが、事件のあと、俺の気持ちを伝えた。この関係が、どうなるか分からないが、それと関係なく、俺は周りが勧める縁談を受けるつもりは既にない。
彼女は今回のことで大きなショックを受けている。だから、彼女とのことは、しばらく様子をみたいと思っている」
「そう。……聞いてて、何だか恥ずかしくなるわ。でもまあ、やっと腑に落ちたわ。一歌さんが事件を起こしたことも、あなたが怪我をしたことも、それなら理解できることかしらね」
母は、柄にもなく顔を赤らめている。
「あなたに事情を聞いてから、お父さんのかわりに私がその女性に謝罪に行こうと考えていたんだけど、今はやめておくわ。微妙な関係というところでしょうから。
……さっき、ここに来るとき、エレベーターのところですれ違ったコがいて、なんかこう、……透明感のある、素敵なコなのよ。
外科病棟だし、誰かの彼女がお見舞いに来ているのかしらって、こんなコがあなたの彼女だったらいいのにって直感で思ったのよね。
でもきっとそのコでしょう? この部屋に微かに、すれ違った時にした同じ匂いが残っている」
俺は黙って聞いていた。
「あなたの結婚相手選びに、何かしらの陰謀が渦巻くのはわかるけど、私は自分の息子をこんな目に合わせることになったことが許せない。でも、母の気持ちなんか誰も気にかけてくれないのよ。
敦司くんのことだって、誰も心から彼の心配なんかしていない。会社の心配ばかりよ。
一歌さんとの離婚のことだって、二人と関係のないところで揉めているのよ。敦司くんの気持ちや考えなんて誰も気にも留めていない。
私は、あなたの結婚は、するしないも含めて、あなたの好きにしたらいいと思うし、そうなるように、あなたでうまくやりなさい」
ひととおり自分の言いたいことを言って、母は帰っていった。
「……彼女とは、偶然知り合った。少し前に。偶然出会って、俺が好きになった」
母は少し身構えた表情をした。
「自分の家に住まわせているのは成り行きだ。彼女はまったく賛同していない。彼女はさっき恋人ではないといったが、事件のあと、俺の気持ちを伝えた。この関係が、どうなるか分からないが、それと関係なく、俺は周りが勧める縁談を受けるつもりは既にない。
彼女は今回のことで大きなショックを受けている。だから、彼女とのことは、しばらく様子をみたいと思っている」
「そう。……聞いてて、何だか恥ずかしくなるわ。でもまあ、やっと腑に落ちたわ。一歌さんが事件を起こしたことも、あなたが怪我をしたことも、それなら理解できることかしらね」
母は、柄にもなく顔を赤らめている。
「あなたに事情を聞いてから、お父さんのかわりに私がその女性に謝罪に行こうと考えていたんだけど、今はやめておくわ。微妙な関係というところでしょうから。
……さっき、ここに来るとき、エレベーターのところですれ違ったコがいて、なんかこう、……透明感のある、素敵なコなのよ。
外科病棟だし、誰かの彼女がお見舞いに来ているのかしらって、こんなコがあなたの彼女だったらいいのにって直感で思ったのよね。
でもきっとそのコでしょう? この部屋に微かに、すれ違った時にした同じ匂いが残っている」
俺は黙って聞いていた。
「あなたの結婚相手選びに、何かしらの陰謀が渦巻くのはわかるけど、私は自分の息子をこんな目に合わせることになったことが許せない。でも、母の気持ちなんか誰も気にかけてくれないのよ。
敦司くんのことだって、誰も心から彼の心配なんかしていない。会社の心配ばかりよ。
一歌さんとの離婚のことだって、二人と関係のないところで揉めているのよ。敦司くんの気持ちや考えなんて誰も気にも留めていない。
私は、あなたの結婚は、するしないも含めて、あなたの好きにしたらいいと思うし、そうなるように、あなたでうまくやりなさい」
ひととおり自分の言いたいことを言って、母は帰っていった。