霊感御曹司と結婚する方法
地上に降り立って、村岡さんに真っ先にお礼を言った。
「村岡さん、ありがとうございました。貴重な体験でした。……とても」
ほんとうは彼に抱きついて言いたい。
今日の事を思い出したら、この先に何があっても乗り越えていけそうな気がする。そう思うと少し涙ぐんでしまった。
「俺もだ。良かった」
運行会社の社長も出迎えてくれて、村岡さんがお礼を言っていた。
「今日は運が良かった。こんなに視界がクリアな日も珍しいですよ。だから、ちょっと遠出して時間が押してしまいました」
「うちは一般の遊覧飛行はうけてないんだけど、まあ強いて言うなら今ので五十万くらいかな」
「五十万……。色んなお金の価値があるんですね」
私が呟いたそばで、村岡さんが笑って頷いていた。私にとっては、もう二度と巡ってこない時間だろう。今の自分には意味深い時間だった。彼はわかってこれを見せてくれたのだろうか。
その夜は二人で一緒のベッドに入った。
申し合わせるのでもなくて、二人の気があった。それで互いの身体を求めあった。
一度だけと約束して。
互いがこの世に生まれ、同じ時間を共有して、互いに持ち合わせていないものを見つけて、生きていることを確認するかのように──。
「村岡さん、ありがとうございました。貴重な体験でした。……とても」
ほんとうは彼に抱きついて言いたい。
今日の事を思い出したら、この先に何があっても乗り越えていけそうな気がする。そう思うと少し涙ぐんでしまった。
「俺もだ。良かった」
運行会社の社長も出迎えてくれて、村岡さんがお礼を言っていた。
「今日は運が良かった。こんなに視界がクリアな日も珍しいですよ。だから、ちょっと遠出して時間が押してしまいました」
「うちは一般の遊覧飛行はうけてないんだけど、まあ強いて言うなら今ので五十万くらいかな」
「五十万……。色んなお金の価値があるんですね」
私が呟いたそばで、村岡さんが笑って頷いていた。私にとっては、もう二度と巡ってこない時間だろう。今の自分には意味深い時間だった。彼はわかってこれを見せてくれたのだろうか。
その夜は二人で一緒のベッドに入った。
申し合わせるのでもなくて、二人の気があった。それで互いの身体を求めあった。
一度だけと約束して。
互いがこの世に生まれ、同じ時間を共有して、互いに持ち合わせていないものを見つけて、生きていることを確認するかのように──。