霊感御曹司と結婚する方法
 二人の世界の中では、村岡さんはびっくりするくらいやさしくて、私の想像のはるか上をいくいやらしさだった。

 彼は、私の身体中のヒダとか溝とかくぼみとか突起とかを、とにかく時間をかけて余すところなくさらっていってくれて、そのおかげで、私の本懐の穴は、絶対にこんな深さは私にはないと思うくらいの長さの立派な棒でも、難なく埋め込むことができた。

 彼がわざとじれったく刺激するから、私の切なさは止まない。それをどうにかしてもらうために、彼に何をどんなふうにお願いしても、もはや彼をいやらしく挑発しているようにしかならなかった。

 その私の姿をみて、彼はますます興奮しているようだけど、ギリギリのところで抑えて、じっくりと私を刺激して楽しんでいる……。

 そういったサイクルで、私はこの行為で溺れるような感覚を初めて知った。

 一度だけと約束はしたものの、そのまま眠りについて、明け方に目が覚めて、寝床からこっそり出ようとした時に、彼に阻まれて、またされてしまった。

 回数としては、昨夜二回と明け方一回の計三回。

 生涯の思い出として刻むなら、十分すぎるインパクトかなと思った。私にとって、その濃い内容と回数は、たぶん、この先、他の誰としても、上書きはされないという確信がある。

 一生の宝物か、一夜限りの喜びか?

 そのどちらをとっても、彼が相手なら不服はない。

 私にとっては、彼以上の人は今後いないのかなという寂しさを知ってしまった悲しみはある。

 私が彼に感じていた不安はどうかというと……、

(あれだけいやらしいセックスをする人なら大丈夫かな? 彼は、まったく儚くなかったし……)

 と、拍子抜けしたところもある。私の考えすぎだったかな? とも。

 なので、彼はこの先もどこかで元気でいてくれると思ったし、願わくば、自分の知らないところで、幸せになってくれるだろうとも思った。
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