愛は手から零れ落ちる

職を探さないといけない。
辞めてしまったものの仕事はなかなか見つからなかった。
ハローワークに通い、職を一緒に探してもらった。
今までの職歴から事務職があなたには向いていると言われ、それを中心に探した。
面接にも何社か行ったが、でも何かが違う気がした。
もっと、違う仕事がしたい・・・そう思うようになっていた。
ハローワークの人には贅沢言っていると仕事決まりませんよと怒られた。それでも決めることは出来なかった。

親の遺産が少しは残っていたが、それには手を付けたくなかった。
学校を出てからはほとんど自分の力で何とかやってきた。だからこれからも自分の力で生活をしていきたい。
そう思いながらも自分の貯金はもうあまりなかった。

早く、早く仕事を探さなくては。


ハローワークの帰り、ふらふらと街を歩いていると一件のおしゃれなバーがあった。
今迄こんなところに入ったことが無かった。ここにバーがあることすら気が付かなかったし、知らなかった。
なんだか気分転換に入ってみたいと思った。

思い切って扉を開けた。
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